11MOSSAN FANTASY

22:00
さて、やって参りました、もみじ饅頭バイト。短期一発バイト、工場内での袋詰め作業です。

必要なのは財布だけ。電話もメールも来ない携帯(※1)はわずらわしくなくて良い。バイトの人も社員の方もとても優しくて和やかな人ばかりでした。仕事内容は、想像通り、ひたすら饅頭を袋詰めしたり、流れてくる饅頭をチェックして箱に入れたりという感じです。

0:15
過労死になるから(※2)と一時間の休憩をもらった僕は、コンビニで買ったコーヒーを飲みながら公園でのんびり考え事をしていた。その気になれば家に帰ることも出来たものの(※3)自転車で旅に出ることを決意した。

0:32
中学の頃に友達とよく自転車で爆走していた階段の坂道を通った。この近くに住んでいたのだ。

中学の頃はよく一発で突破したものだが、今の僕は案の定突破に失敗した。黄色の点滅ばかりのため、自転車は最高速度。夜風が気持ち良い。調子に乗って車道の原付を追い越した。

しばらく走行していたらソレイユが見えてきた。明かりがついているからとソレイユの近くまで来てみたが、やはり全ての店は閉まっていた(※4)。ジャ○コなんか店内全部照明つけっぱでもったいないなぁ。

すぐ近くには変電所ぽい施設(※5)がありました。オレンジっぽい光が印象的だったのでカメラに収めたものの、これっぽっちも感動が伝わらない。

0:42
ソレイユが通りすぎたところで、既に休憩時間を半分過ぎていた。次はどこへ向かおう？なぜか懐かしさを感じたので、工場とは別の方向に向かってみた。

0:46
橋を越えると府中だ。一年とちょっと前、家庭教師でこの近くに生徒を持っていたので、この辺の道はやけに詳しい。川沿いの道、自転車がギリギリ通れるくらいの道だったことを覚えている。教え子のマンションを通り過ぎたところで、北に向かうとみくまり峡があるという看板を見かけた。川のせせらぎの音が心地よい。みくまり峡ってこんなに近かっただろうか？そんなことを考えながら、休憩時間をギリギリまで使って、出来るだけ北へ向かうことを考えた。

0:51
だいぶ川幅が狭くなってきたと同時に、あたりが暗くなってきた。こいつはリアルにみくまり峡に着くかもしれない。場所は覚えてないけど、なぜか確信出来た。途中原付に乗った珍しい警察に出会った。「そこの自転車ライトを付けなさい」と注意された。ライトつけたらうるさくなってしまう自転車だったので、原付警官が通り過ぎて即効で消してしまった。マナーの悪い自転車乗りだ。原付警官と別れてからはひたすら激しい坂を登っていった。家からそんな遠くない場所にこんな素晴らしい河川があるのは素敵なことだと思う。昔は蛍もいたらしいが。というか、見た記憶が微妙にあるが。

0:58
私はついにみくまり峡に到着した。二匹のかわいらしい猫が出迎えてくれたので、記念写真をとらせてもらった。

証拠写真があまりにも暗くてうさんくさいのでもう一つの写真をアップしておきます。

空を見ると、星が本当にきれいでした。

みくまり峡の周りの音。かすかに聞こえる風の音と、時折、風鈴の音が印象的でした。しばらく自転車を置いて涼んだ後、私はここを旅立つことを決意しました。

1:03
旅立つ時に、猫たちはずっとこちらを見ていました。警戒していたのか、見送ってくれたのかは分かりませんが、名残惜しくも自転車を走らせました。行きも不安でしたが、帰りはもっと不安です。下り坂で暗いので、壁にぶつかりそうで怖い。そんな帰り道、再び猫に会いました。自転車はかなりのスピードだったので、本当に一瞬見えたくらいでした。虫たちの声も凄い勢いで通り過ぎていきます。今思えば、秋の虫たちの声でした。途中分かれ道だった場所をきちんと覚えていたので何とか迷わずに府中の橋まで戻って来れました。原付警官を警戒しながらバイトの規定時間へ急ぎました。残り10分程でバイトが始まってしまいます。

1:15
何とか間に合ってバイト再開です。熱いもみじ饅頭を大きい冷凍庫に移しました。